1話 - 或る朝二人
「ブーッ ブーッ」
耳元で囁く機械音で夢から覚めた。
薄い金属の板から発せられるその音は、
いつもはただの日常の一部でしかないが、早朝にはとても煩わしく感じる。
金属の板を手にとり、画面に顔をかざすとLINEの通知が2つ連なっているのが見えた。
薄暗い部屋の中にいつにも増して煌々と放たれる光と、現
に無理矢理引き戻された苛立ちとのアンバランスを感じつつ、
画面を下から上へスワイプした。
LINEは親友の皓太からだ。
トーク画面を開くとそこには
「おきてるー?」
「おーい」
と普段と変わらない口調の文章があった。
朝の5:20にLINEしてくるやつがあるか、と毒づきながらも、
中学時代と変わらない様子の皓太に安心している自分もいた。